仕事における主体性について 主体性を育む5つのステップから主体性を削ぐ原因まで解説
指示待ちの社員が多い、もっと主体性をもって働いてほしい。人事担当や組織のリーダーから常にこの声が聞こえてきます。しかし、主体性を育てることは非常に難しいと言われております。周囲の影響、人間本来のネガティブバイアスの仕組み、チャレンジングに対する社会の寛容度の低さなど、私たち人間は、義務教育の過程から主体性を育みづらいように生きてきました。
しかし、そうはいっても組織の成長やパフォーマンス向上には、個人が主体性を発揮しながら働いていくことが不可欠です。主体性のない、いつまでも指示待ちな社員に時間を永遠にかけることは優秀な社員の時間まで削られることにつながってしまうからです。
本記事では、主体性のある社員を育成するための具体的な方法から、主体性の大事さについてまで解説します。企業の成長には、社員一人ひとりが自発的に行動し、問題解決に取り組む力が欠かせません。一般的な5つのステップをお伝えし社員の主体性を引き出し強化する方法を見ていきましょう。
<目次>
目次[非表示]
主体性について
主体性とは、自分自身で考え行動する力です。自発的に物事を決め、責任を持って実行する姿勢を指します。主体性がある人は、外部の指示や状況に頼らず、自ら積極的に動くことができます。
例えば、会社で新しいプロジェクトが始まる際、上司から指示が降りてくるのを待つのではなく、自ら提案し、そのプロジェクトのリーダーシップを取る行動が主体性の一例です。学校のクラブ活動でも、誰かに頼まれることなく新しい活動のアイデアを出し、それを実現するために行動することが主体性を示す行動です。
また、主体性は単に行動力だけでなく、自己の考えを持ち、それを他人と共有する意思も含まれます。自分の価値観や意見を明確にし、必要に応じてそれを主張できることも主体性の一部です。このように、主体性はさまざまな場面で重要な役割を果たします。
この主体性は現代社会において非常に重要です。情報が氾濫し、変化が激しいVUCAと呼ばれる現代では、自分自身で情報を選び取り、自分にとって最良の決定を下す力が求められます。環境が急速に変化し、予測困難な状態になりやすい時代の中で、主体性は自らが課題に取り組み変化に対応するために非常に大事です。主体性を持つことで、自分の人生やキャリアを自らの手で切り開くことが可能となります。
企業や組織においても、主体性を持つことは不可欠とまで言われるようになってしまいました。上司の指示を待つだけではなく、自発的に課題を見つけて取り組む社員が評価されるのはもちろん、自分で問題解決策を考え、実行することでチームや組織全体の効率と成果が向上します。これにより、企業の競争力も高まります。
加えて、主体性は個人の成長にも繋がります。自らの意思で行動することで、失敗や成功を含んだ多くの経験が積まれます。これらの経験は学びとなり、自分自身のスキルや知識の向上に寄与します。主体性を持つことで、自分自身の可能性を広げることに繋がります。
仕事で主体性が失われる原因
主体性が失われる理由はいくつかあります。
1. 過度な管理体制
過度な管理体制があります。上司や管理職が細かすぎる指示を出すと、従業員は自分で考える機会を失いがちです。指示待ちの姿勢が染みついてしまうと、自ら行動することが億劫になってしまいます。
特に優秀な社員が上司になるとこのケースに陥りやすいです。マイクロマネジメントという言葉もありますが、デキないことを見ていられなくなり、過度に干渉してしまう上司も多いです。この状況だと主体性も生まれず、心理的安全性も低下し、逆効果になってしまいます。
2.失敗を恐れさせてしまう
失敗を経験したことで自信を失い、新しい挑戦を避けるようになります。失敗の許容度が低い職場環境では、リスクを避けるために安全な選択肢を選びがちです。その結果、自発的な行動が抑制されてしまいます。
1のマイクロマネジメントにつも繋がりますが、失敗に対する寛容性を持つべきです。利益を追うために、失敗しないことは大事ではありますが、その結果が指示待ち社員の育成になってしまいます。
これは主体性のある社員育成に成功している企業の事例ですが、あえて「失敗したことを褒める」評価制度を導入している企業も存在します。失敗することはチャレンジした証でもあるので、主体性を持たせるためには効果的です。
3.自己評価の低下
三つ目に、自己評価の低下です。自分の能力に自信が持てなくなると、自発的に動こうという意欲が減少します。自分が何をしても評価されないと感じると、仕事に対するモチベーションも低下しがちです。特に、過去の評価が低かった場合、次の挑戦に対して躊躇することが多くなります。
そのため、組織の文化や雰囲気も大きな要因となります。競争が激しく、互いに足を引っ張り合うような環境では、主体性を発揮する余裕がなくなります。また、上司や同僚からの支持がなければ、孤立感を感じてしまい、自分が何をしても意味がないと感じてしまうことがあります。
主体性が低い社員の特徴
上記は主体性が失われる要因になりましたが、ここでは、すでに主体性が低いと思われる社員の見分け方やその特徴についても解説します。
1.責任感の欠如
主体性のない社員の一つの大きな特徴は、責任感が希薄であることです。彼らは自分の役割や仕事に対して責任を持たず、問題が発生した場合には他人のせいにすることが多いです。例えば、期限が過ぎたプロジェクトに対して「上司が指示した通りにやっただけ」などと言い訳をすることがあります。
責任感が欠如している社員は、自ら進んで問題解決に取り組む姿勢に欠けるため、結果として組織全体の効率が低下します。また、このような態度は他の社員に悪影響を及ぼします。誰もが責任を回避しようとすると、チーム全体の生産性が落ち、モチベーションも低下してしまいます。責任感を持つことは、信頼関係の構築にも直結しており、企業文化の重要な要素です。
2.指示を聞いてから動く
これは冒頭でも取り上げましたが、一番見分けやすい特徴かもしれません。自ら進んで仕事を探し、自分の意見を持ち行動することがなく、常に上司の指示を待つばかりです。このような社員がいると、上司にとっても手間がかかり、他の重要な業務に集中できなくなります。指示待ちで動く社員は、組織の柔軟性や迅速さを損なう原因となります。
3.他人頼りの姿勢
他人に頼りがちな姿勢も、主体性のない社員によく見られる特徴です。自分で調べたり、考えたりすることを避け、常に他人の助けを求めます。例えば、「どうすればいいかわからないので教えてください」と言い続ける場合です。このような姿勢は、チーム全体の効率を妨げるばかりでなく、他のメンバーのモチベーションにも悪影響を及ぼします。
4.変化に対する拒否
主体性のない社員は、変化に対して強い拒否反応を示すことが多いです。新しいプロジェクトや業務の改善策が導入される際に、これまでのやり方に固執し、新しい方法を試そうとしません。変化を嫌う姿勢は、会社の成長や発展を妨げる大きな要因となります。そのため、企業文化として柔軟性を持ち、変化を受け入れる姿勢が重要です。
組織の中で主体性を育てる5つのステップ
1. 明確な目的とビジョンを共有する
主体性のある社員を育てるためには、まず企業の目的とビジョンを明確に伝えることが重要です。企業が何を目指しているのか、どのような価値を提供しようとしているのかを明らかにすることで、社員は自分の役割と責任を理解しやすくなります。
具体的には、定期的な全社ミーティングや部門ごとの打ち合わせで企業のビジョンやミッションを共有しましょう。また、社内ニュースレターやイントラネットを活用して、分かりやすい言葉で目標を発信し続けることが大切です。このような取り組みを通じて、社員一人ひとりが"自分ごと"として捉えるようになります。
社員が企業目標に共感し、自分の役割を明確に認識することで、積極的に自ら行動しようという意欲が高まり、結果として組織全体のパフォーマンス向上につながります。
MVVという言葉がありますが、この共有は本当に大事です。共通の価値観 や目指す姿を第一に掲げて、社内で随時共有する、サーベイツールでここから外れていないかを確認し続けるなど、しっかり社内全員が共通のゴールに向かっているかを再認識するべきです。
2. 自由な意見交換の場を設ける
社員が自由に意見を言いやすい環境を整えることも必要不可欠です。意見交換の場を設けることで、社員は自分の考えを表現しやすくなり、主体的に行動するきっかけになります。定期的なチームミーティングやワークショップを通じて、社員が自由に意見を出せる場を作りましょう。
また、オンラインツールを活用して、匿名で意見を投稿できるフォーラムやチャットグループを設置するのも効果的です。特に内向的な社員も、匿名であれば積極的に意見を出しやすくなります。加えて、オープンドアポリシーを導入し、誰でも上司に直接意見や提案を言いやすくする環境も整備すると良いでしょう。
こうした仕組みによって、社員間のコミュニケーションが活発になり、新しいアイデアや提案が生まれやすくなります。それにより、問題解決のスピードが上がり、イノベーションが促進されることが期待できます。
3. 成果を認め、フィードバックを提供する。
社員が主体的に取り組んだ成果を適切に評価し、フィードバックを行うことも欠かせません。成果を認めることは、社員のモチベーションを高め、自信をつけるために非常に重要です。社員の努力を具体的に評価し、小さな成功でも積極的に褒めるよう心掛けましょう。
例えば、月次や四半期ごとの評価会議で、社員一人ひとりの成果を具体的にフィードバックし、次にどうすべきかのアドバイスも提供します。このように明確な評価基準を持ち、透明性の高い評価制度を導入することが望ましいです。
さらに、社員の成長を継続的にサポートするために、定期的な1対1の面談を実施することも効果的です。この面談では、社員の強みと課題を明確にし、個別のフィードバックを行い、自信を持って取り組めるよう励ましましょう。
4. 自主性を尊重し、責任を果たせる
社員が自らの意志で行動できるよう、ある程度の自由裁量を与えることが必要です。ただし、その自由には責任が伴います。自由裁量を持つことで、社員は問題解決のプロセスを自分で考え、実行する力を養います。
プロジェクト管理においても、社員がリーダーとしての役割を担う機会を提供することが効果的です。例えば、特定のプロジェクトのリーダーに任命し、その進行管理や成果を委任することで、実際の業務を通じて責任感と決断力を養います。
また、社員自身が目標設定や達成方法を決めるセルフマネジメントの推進も有効です。年次計画や四半期目標を社員自らが設定し、それに基づいて行動計画を立てることで、自主的な働き方が浸透しやすくなります。
5. スキルアップと成長の機会を提供する
社員が主体的に成長できる環境を整えることも重要です。社内外の研修、セミナー、資格取得支援などを通じて、社員のキャリアアップをサポートしましょう。こうした取り組みにより、社員は自己成長を感じることができ、さらなる挑戦に積極的になることが期待されます。
例えば、技術研修やリーダーシップ研修を定期的に実施し、社員が最新の知識やスキルを習得できるよう支援します。さらに、業界イベントやカンファレンスへの参加を奨励し、社外の専門家と交流する機会を設けることで、広範な視野を持たせることができます。
また、メンタリングプログラムを導入し、経験豊富な先輩社員が新入社員や若手社員の成長をサポートする取り組みも有効です。これにより、社員は自身のキャリアに対する自信を持ち、組織内での役割をより主体的に捉えるようになります。
個人が主体性を育てるためにできること
自己認識を深める
主体性を育む第一歩は、自己認識を深めることです。自分の強みや弱み、興味や価値観を理解することで、自分が本当に何を望んでいるのかを知ることができます。自己認識を深める方法として、日記をつけることが効果的です。日々の出来事や感情を記録することで、無意識に感じていることを文字化し、自己理解を深める手助けになります。
自己分析のツールもおすすめです。例えば、マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標(MBTI)やストレングスファインダーなどを利用すると、自分の性格や強みを客観的に理解することができます。これらを通じて得た情報を元に、自分の行動や選択を見直すことで、自己認識がさらに深まります。
また、身近な人からのフィードバックも有力な手段です。家族や友人、職場の同僚など、信頼できる人に自分についてどう思っているかを尋ねることで、新たな視点を得られます。他人の意見を受け入れることで、自己理解をより深くすることができます。
目標を設定する
自己認識を深めたら、次に具体的な目標を設定しましょう。目標設定は、自分の行動に方向性を与えるために不可欠です。目標はSMARTの法則に従うと効果的です。SMARTはSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性のある)、Time-bound(期限のある)の略です。
大きな目標を設定することは重要ですが、それだけでは漠然としがちです。そこで、その目標を達成するための小さなステップに分けることが重要です。例えば、1年後に専門資格を取得するという大きな目標がある場合、それを毎月の勉強計画に落とし込み、そして毎日のタスクにまで細分化します。
目標を設定する際には、定期的に見直すことも大切です。定期的な振り返りを通じて、目標が依然として自分にとって価値があるものであるかを確認し、必要に応じて調整を行いましょう。これにより、モチベーションを維持しつつ、効果的に目標に向かって進むことができます。
計画を立てる
目標を設定したら、それを実現するための具体的な計画を立てることが必要です。計画を作る際は、現実的かつ具体的なステップを考え、それをスケジュールに落とし込みましょう。例えば、週間計画や月間計画を立てると、目標達成に向けた進捗を可視化できます。
計画を立てる際には、バッファ(余裕)を設けることも重要です。予期せぬ事態が発生することを考慮し、計画には一定の柔軟性を持たせるようにしましょう。これにより、計画が崩れた際にもスムーズに修正し、再び軌道に乗せることができます。
また、計画通りに進まない場合もありますが、その際は焦らずに対応しましょう。失敗は学びの機会と捉え、何が原因で計画がうまくいかなかったのかを分析し、次に活かすことが重要です。何度も繰り返すことで、より実現可能な計画を立てるスキルが身に付きます。
自己管理をする
計画を立てたら、それを実行に移すための自己管理が必要です。自己管理の基本は、時間の使い方と優先順位を意識することです。タスク管理ツールを使い、日々のタスクをリスト化し、優先順位をつけることで、効率的に目標に向かって進むことができます。
時間管理においては、ポモドーロ・テクニックやタイムブロッキングなどの方法を取り入れると効果的です。ポモドーロ・テクニックは25分間集中して作業を行い、その後5分間の休憩を取るという方法で、集中力を維持しつつ効率的に仕事を進めることができます。タイムブロッキングは、スケジュールに具体的な時間ブロックを設定し、その時間帯に特定のタスクに集中する方法です。
また、健康状態やストレス管理も忘れずに、自分のパフォーマンスを最大化する工夫をしてください。適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠を確保することで、心身の健康を維持します。ストレスを感じた時にはリラクゼーション法や趣味の時間を持つなど、自分に合ったストレス解消方法を見つけましょう。
継続的に学ぶ
最後に、主体性を持ち続けるためには、常に学び続ける姿勢が大切です。新しい知識やスキルを習得することで、自分の価値を高め、変化に対応できる柔軟性を持つことができます。書籍やオンラインコースを活用し、定期的に自己啓発に努めると良いでしょう。
特にキャリアに関連するスキルや知識をアップデートすることは、業界の最新トレンドを理解し、自分の市場価値を高めるために重要です。例えば、デジタルスキルやリーダーシップスキルの向上を目指すと、自分のキャリアの幅が広がり、新しい機会を掴むことができます。
また、学んだことを実践に移し、経験を通じてさらに成長することが重要です。アウトプットを通じて理解を深めるだけでなく、自分の強みや弱みを再確認する機会ともなります。実践を重ねることで、確かなスキルとして定着し、その結果、自信を持って行動することができるでしょう。
仕事における主体性のまとめ
主体性のある社員を育てるためには、企業側が明確な目標を示し、自由な意見交換の場を提供し、成果を認め、責任ある仕事を任せ、成長の機会を提供することが重要です。これら5つのステップを実践することで、社員一人ひとりが自発的に行動し、企業全体の活性化につながります。
また実際に主体性がない社員を見つけること、主体性がなくなる要因の排除も大事です。特にすでに指示待ちになっている社員にどう主体性を自覚させるかは、サーベイツールを使って定量的で客観的な評価をくだし、丁寧にフィードバックを提供することも大事です。そしてその後は、個人で主体性を育む取り組みを自主的に行ってもらうか、組織の主体性への取り組みに参加してもらうかなど、その社員の個性によって判断を決めましょう。
最後になりますが、我々GCストーリーは社員の主体性を育てるためのサポートをしております。
- 2014年 稲盛経営者賞(10億~50億)受賞
- 働きがい䛾ある会社ランキング 5年連続ベストカンパニー 〈2018 女性部門ランキング 1位受賞〉
- Work Story Award 2018 W学長賞受賞
- 第6回ホワイト企業大賞 大賞受賞
- 第1回職場環境優良法人2021,2022,2023 ストレスチェック3年連続 全国1位、日本一働きやすい会社として表彰
などを受賞している組織創りをもとにした主体性の育て方を提供します。よければ下記よりお問い合わせいただき、ご相談ください。