サーベイとは? 企業成長の鍵を握るサーベイ活用法を8種類を交えて解説
従業員満足度を意識できる組織は成長率も高いといいます。従業員満足度が高い組織ほど、離職率は低く、社員のパフォーマンスが高いです。そのためにも、どうやって従業員満足度を上げることができるか?を把握しないといけません。
しかしこの従業員満足度の把握が非常に難しいと言われています。テレワーク全盛の今の時代だからこそ画面越しの生活が多くなったことも重なり、人事側が従業員の要望・不満・不安・心理状態を知りたいと思う傾向が強くなっています。しかし、従業員満足度などの把握のために、社員はさらに業務に時間を多く割かなければいけないことが足かせになっています。そのため社員の心理状態の可視化がないがしろになってしまう傾向があります。
そんな社員の不満の可視化、そして希望、モチベーションなどを把握するために「サーベイ」が重要です。ビジネス用語としてよく聞く単語でもある「サーベイ(調査)」は単なるデータ収集のツールにとどまりません。社員がいっそう力を引き出し、チームのパフォーマンスを向上させるための重要な手段です。この記事では、サーベイを効果的に活用する方法について詳しく解説します。具体的なメリット、設計と実施のポイント、結果の解釈とアクションプランの策定までを取り上げます。
大企業から中小企業、スタートアップまで企業規模を問わず、サーベイを活用する企業が増えてきています。サーベイをすることが当然になっている昨今、しっかりサーベイへの理解を強め、導入することで得る大きな利益を把握しておきましょう。
<目次>
目次[非表示]
サーベイのメリットとは?
サーベイを活用することで、組織の現状を客観的に把握できます。従業員の意見や満足度、エンゲージメントレベルを理解することで、改善すべき点や強化すべき点が明確になります。特に、大規模な組織では個々の声をすべて聞くことが難しいため、サーベイは非常に有効です。
また、サーベイは従業員とのコミュニケーションの一環だけではなく、従業員からの信頼を得ることに繋がったり、エンゲージメントにおける大事な「愛着心」を抱くことにつながります。経営陣が従業員の声を重視している姿勢を示すことで、従業員の信頼感やモチベーションを向上させる可能性が高いです。サーベイの機会を設けることで、従業員が自分の意見が尊重されていると感じると、職場への愛着や業務への取り組み方がポジティブになります。
さらに、サーベイ結果を分析することで、組織全体のトレンドやパターンを把握し、戦略的な意思決定をサポートすることができます。これにより、組織の強みや弱点を明確にし、新しい施策を導入する際の参考とすることができます。具体的なデータに基づいた決定は、意思決定者にとって頼りになる情報源となります。
サーベイとアンケートの違い
ここでは組織が混合しやすいアンケートとサーベイの違いを解説します。
アンケートは、特定の問題や関心事について迅速にフィードバックを得るための手法です。サーベイと比べると規模が小さく、質問もシンプルで短時間で回答できるものが多いです。一般的には、顧客満足度調査や従業員の意見収集など、日常的なフィードバックを得るために用いられます。
サーベイは、広範なデータを収集し、統計的な分析を行うことを目的とした調査手法です。大規模な対象群からデータを集め、全体の傾向やパターンを確認するためによく使われます。サーベイでは、質問が詳細で多岐にわたるため、多くの場合、時間をかけて計画し実施されます。
時間的な違いも大きくあります。サーベイは、計画から実施、分析に至るまで時間がかかる場合が多いです。一方、アンケートは迅速に実施でき、その結果も短期間で集めることが可能です。そのため、時間に制約のある状況ではアンケートが適しています。
また、サーベイは詳細なデータを多く収集し、統計解析を行うため、データの質と量が非常に高いです。一方、アンケートは簡潔な質問が中心で、データの質と量はサーベイほど高くありませんが、手軽さやスピードが求められる場面で有効です。
様々なサーベイの種類について
サーベイは組織課題によって様々な種類が存在します。1つ1つご紹介します。
1.従業員サーベイ
従業員サーベイは、従業員一人ひとりの意見や感情を拾い上げるものです。定期的に実施されることで、企業はリアルタイムで従業員の状況を把握しやすくなります。サーベイの結果は、社員の満足度や職場環境に対する評価を明確にするため、これを基に具体的な改善策を講じることができます。
企業が成長を続けるためには、優れた人材を維持し、社員全体の士気を高めることが重要です。従業員サーベイは、社員の声を直接収集できる貴重な手段であり、職場環境や企業文化に関するフィードバックは非常に価値があります。サーベイを通じて、管理職や経営陣が従業員の悩みや不安を理解し、それに対する具体的なアクションを取ることが可能になります。
2.パルスサーベイ
パルスサーベイとは、従業員の意見や感情を短期間のうちに把握するための簡単なサーベイです。年次サーベイとは異なり、定期的に(週次や月次で)実施されることが特徴です。パルスサーベイを通じて、組織内の健康状態をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて迅速に対応することができます。
パルスサーベイの最も大きな利点は、リアルタイムで情報を収集できることです。従業員の意見や感情の変化をタイムリーに把握することで、問題が大きくなる前に対策を講じることが可能です。また、頻繁に実施することで従業員のフィードバックを受け入れる文化が根付くため、エンゲージメントやモチベーションの向上にも寄与します。
3.組織サーベイ
組織サーベイは、従業員の意識や満足度を測定するための調査です。主な目的は、従業員の意見を収集し、組織全体の現状を把握することです。これにより、組織の強みや改善点を明確にし、具体的な改善策を立てることができます。組織サーベイは定期的に行われることが多く、その結果は組織の運営方針や人事施策に反映されます。
組織サーベイは、従業員のエンゲージメントやモチベーションを高めるための重要なツールです。従業員が自分の意見が尊重されていると感じることで、職場への愛着や仕事への意欲が向上します。また、組織の改善点が明確になることで、効率的な経営戦略を立てることが可能です。さらに、潜在的な問題を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。
4.モラールサーベイ
モラールサーベイは、社員の労働意欲や仕事に対する満足度を測るための調査です。社員の意見や感じている問題点を収集することで、組織の現状を把握し、改善点を見つけ出すことができます。この調査を定期的に実施することで、職場環境の改善や社員のモチベーション向上に繋がります。
モラールサーベイの重要性は多岐にわたります。まず、社員の声を直接聞くことで、彼らが何を求めているのか、どのような問題に直面しているのかを具体的に把握することができます。これにより、経営陣は社員のニーズに応じた対応を取ることができ、結果として職場の雰囲気を改善することができます。
5.エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、従業員の仕事に対する意欲や、会社に対する満足度を測るための調査です。この調査は、従業員の声を直接聞くことで、組織の強みや改善点を見つけ出し、職場環境をより良くするための手助けになります。企業が成長し続けるためには、従業員一人ひとりが意欲的に働ける環境を整えることが非常に重要です。
エンゲージメントサーベイは、従業員の満足度とモチベーションを把握するための重要なツールです。これにより、企業は従業員の不満や悩みを早期にキャッチし、適切な対策を講じることができます。また、高いエンゲージメントは生産性の向上や離職率の低下にも寄与します。したがって、エンゲージメントサーベイを定期的に実施することは、企業の持続的な成長にとって欠かせない要素となります。
6.コンプライアンス意識調査
コンプライアンス意識調査は、企業の全社員がコンプライアンスに対してどのような意識を持っているかを測定する重要な手段です。企業の規模や業種にかかわらず、コンプライアンスの遵守は法令違反や不正行為の予防に不可欠です。この調査を通じて、社員の理解度や遵守状況を把握し、必要な改善策を講じることができます。
コンプライアンス意識は一度確認すればそれで終わりではありません。継続的な教育や研修、定期的な意識調査を通じて、企業全体でのコンプライアンス意識を維持・向上させることが求められます。また、関連する法令や規則の改定に応じて、内容や教育の方法も柔軟に見直すことが必要です。
7.アセスメントサーベイ
アセスメントサーベイとは、組織や個人のパフォーマンスを客観的に評価するための手法です。これにより、強みや弱みを明確にし、今後の改善につなげることができます。アンケート形式で行われることも多く、特定のテーマに基づいて質問が準備されます。結果は定量的なデータとしてまとめられ、分析に利用されます。
企業が成長し続けるためには、自己評価が欠かせません。日々の業務に忙殺される中で、自分たちの強みと弱みを客観的に理解するのは難しいことです。アセスメントサーベイを活用することで、全社員が一丸となって現状を正確に把握することができ、組織全体が一段と強固になります。
8.ストレスチェック
職場でのストレス管理も重要です。企業としても、従業員のストレスを軽減するための取り組みが求められます。例えば、定期的なメンタルヘルスチェックや、ストレス相談窓口の設置、フレックスタイムやリモートワークの導入などが挙げられます。これらの取り組みは、従業員の生産性を向上させるだけでなく、離職率の低下にも繋がります。
サーベイを有効に活用するために
ここまで多くの種類のサーベイがあると、何から取り組めば良いか分からなくなり、嫌になり投げてしまう組織の方が多いはずです。そうならないためにここでサーベイが有効に機能するために大事なことをお伝えします。
まず、サーベイの目的を明確にすることが必要です。例えば、「従業員満足度を測定する」や「業務プロセスの改善点を探る」などの具体的な目的を設定しましょう。そうすれば、上記のサーベイのうちどれが優先度高く取り組むべきかが分かります。この目的設定が不十分だと、集計結果が漠然としたものになりがちです。
次に、質問項目を慎重に選定し、偏りのない公正なものにすることが大切です。質問は簡潔でわかりやすく、回答しやすい形式にすることが求められます。質問には定量的なデータを集めるための選択肢形式の質問だけでなく、従業員の詳細な意見を引き出す自由記述形式の質問をバランスよく取り入れると効果的です。
設計段階で、パイロットテストを実施することもおすすめです。パイロットテストを通じて、質問内容やサーベイ全体の流れを検証し、実施前に問題点や改善点を洗い出すことが重要です。これにより、本サーベイの精度と信頼性を高めることができます。また、質問項目が多すぎると回答者の負担が大きくなるため、必要最低限の質問に絞ることもポイントです。
サーベイ実施のタイミングと方法
サーベイの実施タイミングも、その効果を大きく左右します。定期的なサーベイ(例えば半年に一度)を実施することで、組織の状態を継続的に監視でき、トレンドや変化を確実に捉えることができます。しかし、特定の問題が発生した際には緊急サーベイを実施することも非常に有効です。これにより、タイムリーなフィードバックを得て迅速に対応することが可能となります。
実施方法としては、匿名性を担保することが重要です。匿名性を確保することで、従業員が率直な意見を述べやすくなります。匿名性を保証するためには、オンラインフォームの活用や第三者機関の導入が効果的です。オンラインフォームを使用することで、データ収集の手間やコストを抑えることができるだけでなく、迅速なデータ処理も可能となります。
さらに、従業員が参加しやすいように、サーベイの通知方法や回答期限も工夫しましょう。通知方法としては、メールや社内掲示板、口頭連絡など複数の手段を組み合わせて行うと効果的です。また、回答期限を設ける際には、従業員の業務スケジュールを考慮し、無理のない期間を設定することが重要です。
サーベイ結果の解釈とフィードバック
サーベイ結果を正確に解釈することは極めて重要です。データを単に集計するだけでなく、傾向やパターンを分析し、具体的な課題を抽出します。例えば、10の評価項目のうち特に低評価が多い項目がある場合、それは重点的に改善すべきエリアであるといえます。
データを分割して分析することも有効です。例えば、部署ごと、職種ごと、年齢層ごとなどにデータを細分化することで、特定のグループに特有の問題点や強みを把握できます。これにより、より的確なアクションプランを策定することができます。また、クロス分析を行い、複数の項目間の相関関係を確認することも効果的です。
その後、サーベイ結果を全社員にフィードバックすることで透明性を保つとともに、組織全体での共通認識を持たせることができます。フィードバックの方法としては、定例会議での報告、社内報やメールを使った共有、あるいは専用のフィードバックミーティングを開催することが考えられます。結果を隠さず正直に伝えることで、従業員の信頼感を得ることができます。
アクションプランの策定と実行
サーベイ結果に基づき、具体的なアクションプランを策定します。例えば、従業員のエンゲージメントが低いと判明した場合、ワークライフバランスの改善やキャリア成長の支援など、具体的な施策を考えます。アクションプランは、現実的で実行可能な内容にすることが重要です。
具体的な施策としては、フレックスタイムの導入やリモートワークの推奨、スキルアップのためのトレーニングプログラムの提供などがあります。これらの施策は、従業員の働きやすさを向上させ、エンゲージメントを高める効果があります。また、短期的な目標と長期的な目標を設定し、段階的に実行していくことで、着実に改善を図ることができます。
各目標に対して責任者を明確にし、進捗状況を定期的に確認する体制を整えることも重要です。例えば、進捗状況を月次報告としてまとめ、経営陣や関係部署で共有することで、組織全体の協力を得ることができます。さらに、施策の効果を評価し、必要に応じて修正を行うことで、より効果的なアクションプランを実現できます。
その後、実行し、再度サーベイを行うことで改善効果を測定します。これによって、施策の有効性を評価し、さらなる改善点を見つけるサイクルを確立します。継続的にこのサイクルを回すことで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。例えば、改善策が実際に効果をあげているかどうかを確認するために、サーベイ結果を定期的にレビューし、新たな課題や改善点に対する対策を講じることが求められます。
サーベイのまとめ
サーベイは、組織の力を引き出すための強力なツールです。正確な設計と実施、結果の解釈とフィードバック、具体的なアクションプランの策定と実行を通じて、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。継続的なサーベイの活用により、組織の健全性を維持し、さらなる成長を目指しましょう。
組織力は一朝一夕にして成し得るものではありませんが、サーベイを活用することで、確実な一歩を踏み出すことができます。従業員からのフィードバックを真摯に受け止め、改善に取り組む姿勢が、組織全体の信頼感とモチベーションを高める鍵となります。継続的にサーベイを活用し、組織力を最大限に引き出す努力を怠らないようにしましょう。
GCストーリーはTeamInsightという独自の組織サーベイツールを提供しております。組織・人材に関する課題をTeamInsightを使って見える化し、社員本人と周囲のメンバーを含めたアンケートおよび360度分析で、自己受容度・関係性構築力・自律度を評価し、組織力向上のための自律性のある組織づくりをサポートします。ご興味ありましたらぜひ下記よりお問い合わせください。